アンハッピー・ウエディング〜前編〜

「水族館は興味ないか?」

「…ううん。クラゲとか、ネッシーとか、サメさんがいるところでしょ?」

「そう、それそれ」

…ん?なんか実在しない生き物が混ざってなかったか?

まぁ良い。寿々花さんの興味を引けるなら。

「あるの?水族館。この近くに…」

「えーと…多分…」

見切り発車だから、何処にあるのかまでは分からない。

でも、手元にマップアプリがあるから。

「ちょっと待ってくれ。調べてみるから」

この際、少々遠くても良いよ。

新幹線の距離…なら、さすがに諦めなきゃいけないけど。

電車を二、三本乗り継ぐくらいなら、近いもんだろう。

すると、幸いなことに。

「おっ…ヒットした」

一件だけ、検索に引っかかった。

しかも、結構近いところにある。

これなら電車を使わなくても、バスで行けるかも。

マップアプリに、うちからの行き方も表示されていた。

えーと…最寄りのバス停から駅までのバスに乗って、そこから乗り換えるらしい。

「あるある。寿々花さん、割と近くにあるよ」

「本当?行ける?一緒に行ってくれる?」

「あぁ。動物園じゃなくて悪いけど…」

「ううん。水族館でも良いよ」

そうか。良かった。

多分、何処でも良いから出掛けたいんだろうな。寿々花さんは。

むしろ。

「悠理君と水族館…。やったー」

『爬虫類の館』が休館中だと聞いて、あれだけ落ち込んでいたのに。

代わりに水族館を提案したら、また周囲にお花畑が広がってる。

分かりやすい奴だなぁ…。

「そうと決まれば、すぐ準備して行こうぜ」

「うん」

…思えばこの時、俺は自分が行こうとしている「水族館」の情報を、もう少し調べておくべきだったのだ。

マップアプリで水族館を検索してヒットしたから、よく考えずにそこに行くことを決めてしまった。

その浅はかさを、俺は後になって後悔することになる。