アンハッピー・ウエディング〜前編〜

「これ、あんたが遠足のお土産で買ってきたインスタントラーメンだよ」

「ほぇ?」

ほぇ、じゃねぇんだよ。忘れてたのか?

「食べてみようと思ったんだけど…。…見ての通りだ」

「ほぇー。凄いねー」

…買ってきたのはあんただけどな。

しかしどうする?これ。

明らかにヤバそうな香りがするけど…食べても大丈夫なんだろうか。

一応、お土産屋で売ってる食品なんだから…悪いものは入ってないと思うが。

味見をする勇気が出ないんだよな。

かと言って、捨てるのも勿体ないし。

…仕方ない。勇気を出して、食べてみるとするか。

トッピングに、茹で卵とほうれん草と、ネギと市販のチャーシューを用意してみた。

インスタントラーメンには定番のトッピングを用意したつもりなんだが…。

果たして、このインスタントラーメンにこれらのトッピングは、合うんだろうか。

茹で卵がピンク色に染まりそう。

「食べてはみるけど…。無理して食べなくて良いからな。無理そうだったら残しても…」

と、言いながら、寿々花さんの前にどんぶりを出したが。

「わーい。いただきまーす」

寿々花さん、何の躊躇いもなくラーメンに箸をつけた。

イケメンかよ。

麺を啜ると、余計強く立ち上るケミカルな香り。

…本当に大丈夫だよな?

「…どう?…美味い?」

「んー。面白い味だよ」

とのこと。

何だよ。面白い味って。

とはいえ、寿々花さんは吐き出すことも顔をしかめることもなく。

普通にずるずる啜っているので、多分不味くて食べられないってほどじゃないんだろう。

…そうだと良いのだが。

寿々花さんがここまでワイルドに、外国インスタントラーメンにチャレンジしているのだ。

男である俺が尻込みしてたんじゃ、格好がつかないよな?

…よし、行くか。

俺は覚悟を決めて、ピンクラーメンに箸をつけた。

…もぐ。

「…」

初めて食べた、外国産のインスタントラーメンの味の感想を述べよう。

…なんつーか、うん。まぁ、不味くはないんだけど。

不味くて吐きそう、ってほどじゃないんだけど。

なんか…上手く説明出来ない。

甘いのか酸っぱいのか、苦いのかもよく分からない。

色んな味がする。

ドリンクバーのドリンク、全部混ぜたみたいな…。

…薬、食べてるみたいな感じ?

決して美味しくはないが、食べられないほどじゃない。

麺はちょっと硬めで、油っぽいようなしつこいような、独特の風味と食感がある。

今更だけど、これ原材料何なんだろう?

多分パッケージの裏側に、原材料とか書いてあると思うんだが、如何せん読めないからさ。

寿々花さんに見せたら、読めるかもしれない。

でも、知らない方が良いことってあるだろ?

コオロギで取った出汁です、とかって書いてあったら、今すぐリバースしかねん。

知らぬが仏と思って、食べてしまうことにしよう。