アンハッピー・ウエディング〜前編〜

「…あのな、確かに一日くらいは帰るかもしれないけど。日帰りだから」

顔出すくらいはするが、実家に何日も泊まるつもりはない。

親不孝だって?…そう言われたら言い返す言葉がないが。

が、寿々花さんを一人ぼっちにして親孝行するよりは。

嫁不孝するくらいなら、親不孝の方がまだマシ。

「寿々花さんを一人ぼっちにして、家に置き去りにはしないよ」

「…そうなの?気にせずに帰っても良いんだよ」

「大丈夫だよ」

気にするなって言われても、気になるわ。

この状態で実家に帰っても、終始寿々花さんのことが気になって、とても寛げないだろう。

「夏休みの間も、こっちにいるよ。寿々花さんのところに」

「…!本当?いてくれるの?」

「あぁ」

「…」

沈んだ顔をしていた寿々花さんの表情が、みるみる明るくなった。

魔法にかかったみたいだな。

「あのね、あのね。それだったら、行きたいところあるの。悠理君と一緒に。あとね、したいこともあって。それからそれから」

「はいはい、落ち着けって。順番な、順番」

途端に元気になったな。分かりやすい奴。

夏休みにやりたいこと、行きたいこと、たくさんあったんじゃないか。

俺が実家に帰ると思って、ずっと我慢してたな?さては。

不器用な奴。

頭の中身お子様な癖して、そういうところは気を遣うんだから。

ちょっとくらい我儘言えば良いものを。

「いっぱい遊びたいことあるの。良い?遊んでも良い?」

「良いよ」

「やったー」

両手を上げて、万歳して喜ぶ寿々花さん。

え?普段から遊んでばっかりじゃんって?

良いんだよ。

この人、期末試験、何気にまた学校で一番だったんだぞ。

そのご褒美だよ。