アンハッピー・ウエディング〜前編〜

「特に…予定はないな」

「何だよ。星見の兄さんも暇人じゃん」

何だと?

暇な訳じゃねーよ。家事をこなさなきゃいけないし。

「ご実家には帰らないんですか?」

と、乙無が聞いてきた。

「そうだな…。帰省…するかもしれないけど、多分日帰りだと思う」

実家には泊まらないんじゃないかな。寿々花さんを一人、家に置き去りにする訳にはいかないし。 

寿々花さんが実家に帰るなら、俺も自分の実家に帰るけど。

寿々花さんは多分、帰らないだろうから。

帰りたくないに決まってるだろ。あんなに優秀な寿々花さんを、姉の椿姫お嬢さんと比べて扱き下ろすような家に。

「ふーん。星見の兄さんも、乙無の兄さんも暇なのか…」

「僕は暇じゃないって、さっき言ったじゃないですか」

「よし、じゃあここにいる三人で、なんか夏っぽいことしようぜ!」

「…」

…さり気なく、俺も巻き込まれてないか?

雛堂の奴、女子に相手してもらうことを諦めて、俺達で妥協しようとしてやがる。

「…何だよ?夏っぽいことって」

「それは後から考える」

ノープランかよ。

見切り発車で物を言うんじゃない。

「ちょっと。僕は忙しいんだって、さっきから言ってるじゃないですか。イングレア様の為、真に平等な世界の為に、崇高なる使命を…」

「じゃ、各々夏休みは予定空けといてくれよな!宜しく!」

勝手に話を終えてしまった。

何とも身勝手な奴だ。

別に良いけどな。どうせ、夏休みの予定は白紙だし…。