アンハッピー・ウエディング〜前編〜

今頃寿々花さんも、弁当食べてる頃かな。

目立ってるだろうなぁ…。豪華客船に乗って、まさか一人で弁当持参して食べてるなんて。

それだけでも目立ってるだろうに、弁当箱を開けたら、ホラー映画の化け物とご対面だからな。

…近くにいた人、驚いて腰を抜かしてないと良いけど。

俺なりに一生懸命考えて、電子レンジの化け物を再現してみた。

結果、こんなに黒いおかずを大量生産することになった訳だ。

しょうがないじゃん。あのホラー映画の化け物、真っ黒なんだからさ。

あれを再現しようと思ったら、自然と黒い食べ物ばかりを使う羽目になる。

苦労したよ。どうやって黒くするか。

白い食べ物は色々あるけど、黒い食べ物って意外と少ないんだよ。

ああでもないこうでもない、と試行錯誤し。

図書館でキャラ弁のレシピ本を借りて、研究したりな。

結構頑張って作って、初めてにしてはそこそこの再現度になったかなと思う。

…まぁ、何もかも真っ黒で、元のキャラクターが分からなくなってる恐れがあるけど。

とにかく、やれることは全部やったから。

「真面目ですね、悠理さん。キャラ弁のリクエストに応えてあげるなんて」

「まぁ…。こっちからリクエスト聞いたんだから、出来るだけ応えてやろうと思ってな」

「やっさしいなー、星見の兄さん。あんた良い旦那さんになるよ」

そうか。そりゃどうも。

どうせ作るなら、キャラ弁の本に載ってるような、可愛らしいキャラクターのカラフルなキャラ弁を作りたかったよ。

キャラ弁なんて、滅多に作る機会ないもんな。

俺も、さして手先が器用な訳じゃないから。

…寿々花さん、喜んでると良いな。