アンハッピー・ウエディング〜前編〜

ヘビエリアを抜けた先に待っていたのは。

「次はワニエリアです。さぁ、こちらにどうぞ」

自称アンドロイド女子高生に誘われ、ワニエリアにやって来た。

ワニって爬虫類なんだな。

水族館でしか見たことなかったけど、これまた結構インパクトのある見た目をしている。

それなのに、二人の自称アンドロイドは全く臆することはなかった。

「こちらはアリゲーターですね」

アリゲーターだってよ。

ワニには全く詳しくないけど、聞いたことがある名前だ。

「その向こうにいるのが、ナイルワニになります」

ふーん…。

ワニなんてどれも似たようなものだと思ってたけど…こうして並べてみると、意外と違って見えるもんだな。

だからって区別は出来ないけど…。

「此奴らに噛まれたら人間はひとたまりもありませんが、しかし、奴らの武器は所詮それだけです」

と、久露花さんが言った。

「ワニと戦うときのポイントは、噛まれる前に武器である口を塞ぐことです。戦闘開始直後に、真っ先にワニの口を押さえ、ロープでぐるぐる巻きにしてしまうのが良いでしょう」

成程、先に相手の武器を奪えってことな。はいはい。

「…簡単に言うけど、まずその状況に持っていくのが不可能だろ」

「奏さんと同じことを仰るんですね。似た者同士ですか?」

誰に聞いても同じこと言うっての。

どうやってワニの口を、ロープでぐるぐる巻きにするんだよ。

「巨体の割には俊敏で、泳ぎも得意だそうですから。戦うときは気をつけてください」

ありがとう。

大丈夫、戦わないから。

「ちなみに、先程のヘビと言い、こちらのワニと言い、見た目のインパクトに反して肉の味はかなり美味だそうです」

と、今度は橙乃さんが、またしても雑学を披露。

…え。食えんの?

「あー、なんか聞いたことあるわ。ヘビって、サバイバルの非常食になるんだっけ?」

雛堂が尋ねた。

「はい。ヘビもワニも、意外と淡白で鶏肉のような風味で美味しいそうです」

鶏肉だって?マジで?

「でも…毒があるんじゃないのか?」

さっき言ってたじゃん。猛毒があるから気をつけろって。

フグみたいに、専門家じゃないと捌けないんだろうか。

「一般的に、毒があるのはヘビの頭部だけなので、頭部さえ切り落とせば身体は食べられるようです」

「へぇ〜…」

「サバイバルのときは、くれぐれも気をつけてくださいね」

…しないけどな。サバイバル。

食用に出来るからって、別に食べてみたい訳じゃないから。

出来れば、人生でヘビだのワニだのを食べる機会に恵まれないことを祈ってるよ。