アンハッピー・ウエディング〜前編〜

…乙無…。

「話したくないなら、別に良いですよ。無理に聞き出す気はありませんから。ねぇ、大也さん」

「いや、自分は無理にでも聞きたいね」

おい、雛堂。

そこは空気を読んで、「そうだね」と同意するところじゃないのか。

しかし。

「隠し事をするつもりなら、もっと上手に隠すべきだったね。その場凌ぎの嘘じゃなくて。中途半端に隠されると、逆に気を遣うんだわ」

…うーん。雛堂がまた、珍しく正論を言ってる。

そうだよな。

俺だって雛堂と乙無の立場なら、同じことを思うだろう。

…分かったよ。

幸い俺の友人達は、俺の境遇を知っても軽蔑したり、敬遠したり、面白がって吹聴して回るような真似はしないだろうし。

何より、これ以上下手くそな嘘を重ねて誤魔化すと、俺自身が疲れてしまう。

だったら、もういっそ全部話して…楽になろうか。

「…出来れば誰にも知られたくないことだから、言い振らないでくれよ」

「そんな悪趣味じゃねーよ」

「どうぞ。人間の隠し事なんて、たかが知れてますからね」

そりゃ良かった。

「…じゃ、さっきもらった…小花衣先輩の調理実習の料理を食べながらでも、ゆっくり話すよ」

俺は周囲に聞こえないよう小声で、寿々花さんとのことを話し始めた。