アンハッピー・ウエディング〜前編〜

…しかし、翌日。

事態は思わぬ方向に発展する。




…昼休み。

俺は気もそぞろで、寿々花さんのことを考えていた。

今頃、調理実習終わってるよな…?

食べたんだろうか?食べられたんだろうか?

あぁくそ、何であの人はスマホを持ってないんだよ。

メールをして確認するってことも出来ない。

いつかのように焦げ臭い匂いはしないし、新校舎で爆発騒ぎが起きた、とも聞いてないから。

多分、あの玉子焼き事件のようなことは起きてないんだと思うが。

…無理矢理きのこのクリームパスタを食べようとして、リバースして保健室に担ぎ込まれたりしてないよな?

大丈夫だよな…?

「…どうかしましたか、悠理さん」

「…えっ」

乙無に声をかけられて、俺は慌てて振り向いた。

「何だかさっきから、心ここにあらずって感じですが」

「え、いや…。そ、そんなことは…」

「そういや、星見の兄さんの姉ちゃんがレストランに行くの、今日だっけ?」

と、雛堂が聞いてきた。

あぁ…そういうことにしてたんだっけ。

「そうだよ。多分今頃…だと思う」

「ふーん。…つーか、月曜日なのに?学校じゃねぇの?」

素朴な疑問とばかりに、雛堂が首を傾げた。

うっ。そ、それは。

「えっと…きょ、今日は創立記念日なんだよ…」

「えっ。創立記念日が休みになる学校ってあんの?あれ都市伝説だと思ってたわ」

ぎくっ。そ、それは。

この話の流れは良くないぞ。余計なことを追及されそうな雰囲気。

「ま…まぁ良いじゃないか、そんなことは。それよりも…」

俺は雛堂と乙無の気を逸らそうと、学生鞄の中に手を突っ込み。

用意してきたタッパーを、机の上に置いた。

「これ、昨日の夕飯の余りなんだけど…」

「おっ。来た来た。最近毎日これが楽しみでさー」

最近毎日、昨日の夕飯の残りを学校に持ってきて、雛堂と乙無にお裾分けしている。

残して捨てるのは勿体ないからな。

「大也さん、あなた厚かましいですよ」

「良いじゃん、たまには。毎日菓子パンばっかなんだから。それに、好き嫌い克服計画は今日で終わりなんだろ?」

そうだな。今日が調理実習当日だから。

今夜からは、また寿々花さんの好きなものを作ろう。

「星見の兄さんの、美味しい野菜料理とも今日でお別れかー。至福のひとときだったぜ」

「…そりゃどうも」

俺としても、こうして昼休みに昨日の夕飯の残りを美味しく食べてもらえて有り難かったよ。

さすがに、毎日一人で二人分平らげる訳にもいかなかったし。

「で、今日は何?またピーマンの肉詰め?」 

「あぁ、あれ美味しかったですよね。ちょっと形が歪でしたけど」

それは寿々花さんのお手製だから、仕方ない。

それから、今日はピーマンの肉詰めではない。