寿々花さんは、さっきまで爆睡していたのが嘘のように。

ぱっちりと目を開け、むくっと起き上がった。

おはよう。

「ハムッキーは?悠理君、ハムッキーは何処?」

「あー、うん…。おかしいなー。さっきまでそこに居たんだが」

「えっ、本当?見逃しちゃった…」

勿論、嘘である。

チョロっ…。

「なーんだ…。じゃ、もう一回寝よ」

おい、待て。

改めて横になろうとするな。

つーか、そこ床だし。せめてベッドに戻るくらいしたらどうだ。

あと、二度寝はやめろ。

「寝るんじゃない。起きて、身支度しろ」

「ふぇ?」

「今日はハムスタースカイに行くんだろ?寝てたら勿体ないぞ」

「…」

寿々花さんは寝惚け眼で、俺の顔をじーっと見つめ。

そして。

「…そうだった」

と、呟いた。

今思い出したのかよ。

「早く着替えよーっと」

「ちょ、馬鹿。俺の前で脱ぐなよ!」

あろうことが、勢いよくジャージを脱ぎ始めた。俺の目の前で。

後ろ、後ろ向いてるから。その間に着替えてくれ。

あんたには、恥ずかしいという気持ちはないのか?

…ないんだろうなぁ。

恥の感情があったら、呑気に俺と同じ部屋で寝たりなんかしないよ。

それを、このお嬢様に期待するのが間違いというものである。