アンハッピー・ウエディング〜前編〜

「これが…。パイナップルのピザか…」

早速俺達は、パイナップルピザを買ってきた。

…目の前にしても、いまいち実感が湧かないって言うか…。

…美味しいの?これ。

見た目は至って普通のピザで、美味しそうに見えるけど。

でも、パイナップルなんだろ?

ピザにパイナップルって…。…どうなの?

酢豚にパイナップルなら分かるよ。入ってたら美味いよな。

しかし…ピザにパイナップルはさすがに…。

やっぱり、ここはスタンダードに、シーフードピザにしておくべきだったか…。

俺はしばし、買ったばかりのピザとにらめっこしていたが。

そんなビビリチキンの俺をよそに。

「かぷっ」

寿々花さんは、何の躊躇いもなくパイナップルピザに齧り付いていた。

…あんたは男前だよ。

「もぐもぐ…」

「…どうなの?味は…」

「うーん…。…いまいち」

…やっぱり?

「合わないのか?ピザにパイナップルって、やっぱり…」

「ううん、そうじゃない。美味しいんだと思うけど、でも今朝食べた悠理君のお漬物の方が美味しい」

嘘だろ?

俺の貧乏臭い糠漬けと、ハムスターランドの名物ピザを同列に語らないでくれ。

ハムスターランド過激派に怒られる。

…百聞は一見にしかず、って奴だな。

一見は一食にしかずってことで、まずは食べてみよう。

寿々花さんの勇気を見習って、俺もパイナップルピザを頬張ってみた。

すると。

「…あれ…?」

「ね?きゅうりのお漬物の方が美味しいでしょ?」

「…いや、普通にこっちの方が美味いけど」

ピザにパイナップルなんて合わない、とか言ってた馬鹿は誰だっけ?

…俺だよ。

あれ?めっちゃ美味い。

むしろ、パイナップルのジューシーな甘さが、ベーコンとチーズのしょっぱさと合わさって、絶妙なハーモニーを奏でている。

これ考えた人、もしかして天才なんじゃね?

さすが、ハムスターランドの名物ピザ。

こんな味だったのか…。アリだな、この組み合わせ…。

パイナップルの、無限の可能性を感じる。

それなのに。

「悠理君のご飯の方が美味しいなー」

などと宣ってる寿々花さんは、罰当たりってことで。

そんな罰当たりなことばっかり言って、千匹目のおばけに選ばれても知らないからな。