アンハッピー・ウエディング〜前編〜

さて、ポップコーンを摘むのも良いが。

「この近く…。すぐそこに、乗りたがってたアトラクションがあったよな?」 

確か…ハムスターさんのひまわりのタネハント、っていう。

語呂の苦しいアトラクションだ。

「あぁ、そうだ。悠理君乗りたいって言ってたよね」

「いや、うん…」

「よし、じゃあ乗ろっかー」

ガイドブックを確認してみたところ、これは絶叫系アトラクションではないようだ。

行列に並んでいる人を、ちらりと見てみたところ。

小さい子供連れの家族も多く並んでいたから、大丈夫そう。

小さい子供でも乗れるアトラクション、ってことだろ?

それでも、実際に乗ってみるまで一抹の不安が消えなかった。

ジェットコースターの罪は重い。

先二つで乗ったジェットコースターに比べて、このアトラクションの平和なことと言ったら。

俺、もう一生ハムスターさんのひまわりのタネハントに乗ってようかな。

冗談だけど。

でも、そう思うくらいに平和で、可愛らしいアトラクションだった。

俺は心が癒されたけど、絶叫系に乗りたがってた寿々花さんにとっては、つまらなかったかもしれない。

…と、思いきや。

「面白かったねー。ハムスターがいっぱいだった」

目をキラキラ輝かせていたので、これはこれで楽しかった模様。

良かった。

「やっぱりつまらないから、もう一回ビッグハムスターに乗ろうよ」とか言われたら、どうしようかと思った。

「えっと…。この次はどうする?」

「うーん。ハムラッシュ・マウンテンに乗る」

畜生、まだ忘れてなかったか。

ポップコーンとひまわりのタネハントで、少しは気が逸れたかと思っていたのに。

俺の心臓のダメージは、まだ回復してないぞ。

ここは、またしても寿々花さんの気を逸らす方法を…。

こんなときこそ、このガイドブックの出番。

何かないか。近くに、もっと平和そうなアトラクション…。

「そ、そうだ。この…イッツ・ア・ハムスターワールド」

「ほぇ?」

「これも乗ろうって話してなかったか?」

世界中のハムスターが集まって、歌を歌ってるアトラクションなんだろ?

何じゃそりゃ、と思ってたけど…。この際、絶叫系じゃないなら何でも良い。

ガイドブックによると、このアトラクションも、小さい子供でもOK、とのことだから。

さっきのひまわりのタネハントみたいに、激しい動きはないアトラクションだと思われる。

「そうだね。じゃあ、先にそっち乗ろっかー」

ホッ。

寿々花さんが扱いやすい人で、助かったよ。