アンハッピー・ウエディング〜前編〜

手元にある、ハムスターランドハンディガイドブックに寄ると。

スペースハムスター・マウンテンは、宇宙進出したハムスターと一緒に、スリリングな宇宙船の旅に出るアトラクションだそうだ。

…突っ込んじゃいけないんだろうけど、ハムスターの宇宙船って何なんだよ。

ビッグハムスター・マウンテンと違って、こちらは屋内を…しかも。

ガイドブックによると、暗闇を走るジェットコースターであるらしい。

レールが見えてても怖いのに、レールの見えないジェットコースターって。

想像しただけで、めちゃくちゃ怖いんだが。

しかし、絶賛テンション爆上がり中の寿々花さんは。

「よし、乗ろーっと」

うきうきと、アトラクションに向かって駆け出してしまった。

待てって。一人で行くなって。

いや、むしろここは、一人で行かせるべきか?

敢えて寿々花さんを一人で行動させることによって、俺だけはジェットコースターから逃れられるのではないか。

と、姑息なことを考えたが。

「…?悠理君、何してるの?早く行こうよ」

俺がついてきてないことに気がついたらしく、ご丁寧にくるりと振り向いて、俺を促した。

そうか…。やっぱり駄目か…。

一応、俺がついてきてないことくらいは分かるんだな。

「その…。俺はここで待ってるから、寿々花さん、一人で乗って…」

「やだ。悠理君が一緒じゃないとやだ」

何、その我儘?

「一緒に行こうよ。ハムスターの宇宙〜」

ハムスターの宇宙って何だよ。

訳が分からないけど、これだけは確かだ。

…俺も付き合わなきゃいけないってことね。はいはい。

行けば良いんだろ、行けば。

こうなったらもう…覚悟を決めて乗ってくるよ。

ハムスターの宇宙でも何処でも、好きなところに連れて行ってくれ。