アンハッピー・ウエディング〜前編〜

寿々花さんと一緒に、ビッグハムスター・マウンテンに乗った結果。

「楽しかったー。今の楽しかったね。ばびゅーんって。しゅーんばびゅーんばこーん、って感じで楽しかったね」

語彙力崩壊の寿々花さん。

しかし、言いたいことは分かる。

しゅーん、ばびゅーん、ばこーん…。

ぶっちゃけ、それ以外にどう表現したら良いのか分からない。

なんつーか…洗濯乾燥機に放り込まれて、高速で乾燥させられてる洗濯物になった気分。

しこたま振り回され、ぶん回され、放り投げられたような。

これの何処が、デカいハムスターの山なんだ?

…控えめに言って、死ぬかと思った。

俺、まともにジェットコースター乗るの初めてなんだよな…。

初めてのジェットコースターが、ハムスターランドの三大マウンテンだなんて。

なんたる贅沢。

しかし、こんな贅沢は一生知らずにいたかった。

ぐったりする。めちゃくちゃ体力奪われる。

時間にすると、アトラクションに乗ってるのは精々2分かそこらなのに。

体感、2時間くらい乗ってたような気がするんだから、不思議だよな。

魂を山の中に置き去りにきたような気がする。

つっ…かれたぁぁぁ…。

こんなに疲れるアトラクションある?

ハマる人は爽快感あってハマるんだろうけど。寿々花さんみたいに。

でも、俺は無理だったみたいだ。

気力と体力を、ごっそり持っていかれた。

「楽しかった。ね、悠理君」

「そ…。そうだな…」

正直、振り回されまくって楽しむ余裕はなかった。

が、女である寿々花さんが、これほど余裕なのに。

男である俺がヒーヒー言ってたら、格好がつかないと思って。

必死に強がってみた。

男女関係ないって。ヤバイよ、このハムスター山。

しかも、何がヤバいって、

「よし。次はスペースハムスター・マウンテンに乗ろう」

「…」

このハムスターランドには、ビッグハムスター・マウンテンを始め、三大マウンテンと呼ばれるジェットコースターが存在する。

つまり、あと二つあるってことだ。

…マジ?全部乗るの?三大マウンテン全部?

なまじ待ち時間がないものだから、並んで休憩する時間もない。

今更だけど、やっぱりちゃんと並ばねぇ?

待ち時間は大切だよ。心を落ち着ける時間がな?

しかし、寿々花さんはすっかりはしゃいでいて、元気が有り余っているらしく。

「スペースハムスターは何処かなー」

うきうきと、俺の傘片手に歩き出して行ってしまった。

ちょっと待てって。迷子になるから、一人で行動するんじゃない。

あと、スペースハムスター・マウンテンのあるハムローランド・エリアはそっちじゃない。逆だ。

お子様な上に方向音痴って、マジかよ。