アンハッピー・ウエディング〜前編〜

「…?悠理君、どうしたの?」

雛堂達のことを思い出していた俺に、寿々花さんが声をかけてきた。

「ん?いや…何でもないよ」

「悠理君も眠いの?やっぱり座る?」

「寝たら駄目だから、わざわざ立ってるんだからな…?」

あんたが寝過ごさないなら良いけど、俺が寝たらあんたも寝そうだろ。

「そっか。じゃあ、お菓子食べて起きよう」

は?

寿々花さんは、スーツケースをごそごそと開け。

スーツケースの中から、出るわ出るわ、お菓子の山。

「あ、あんた、これ…」

「お菓子。一緒に食べようと思って」

遠足気分かよ。

幼稚園の遠足?

スーツケース、やたら重いと思ってたら…こんなものまで入れてたのか。

そりゃ重い訳だよ。

「あのな…。新幹線でもないのに、電車の中でお菓子は他の乗客に迷惑だろ」

「他の乗客?ほとんどいないのに?」

「そうだけど、匂いとか音とか…」

気にする人は気にするから。車内で飲食は控えようぜ。

…つーか、寿々花さんが持ってきたお菓子のラインナップ。

「…このお菓子って、何?」

「スルメだよ、悠理君。スルメ知らないの?」

「…知ってるけど…」

寿々花さんが持ってきたお菓子は、スルメイカ、いかり豆、柿の種、チーズ。などなど。

…お菓子のチョイスが、どう見てもおっさん。

酒のおつまみばっかじゃね…?

これがお嬢様のお菓子かよ?

そこはクッキーとか、チョコレートとか…。せめてポテトチップスとかさ。

おっさんみたいなお菓子のラインナップ…。

…まぁ、本人が好きなら良いけど。

「今お菓子なんか食べたら、ハムスターランドで美味しいもの食べられなくなるぞ?」

「…!そうだった」

電車の中でお腹いっぱいにするのは、勿体ないだろ。

今からハムスターランドに行こうっていうのに。

おやつなら、いつでも食べられるんだから。

折角なら、ハムスターランドでしか食べられないものを食べようぜ。

「悠理君、さすが頭が良いね」

「あんたの方が、成績上だけどな…」

「じゃあ、私お菓子食べるの我慢するね」

そう、そうしろ。

あとは、迷わずにハムスターランドに辿り着ければ良いんだが…。