アンハッピー・ウエディング〜前編〜

しかし、寿々花さんの誕生日祝いの準備が順調だったのはここまで。

問題が発生したのは、学校の帰り道に寄ったケーキ屋にて。

とうとう、恐れていたことが起きてしまった。




「えっ、売り切れですか…」

「はい、申し訳ありません…」

「…」

俺がケーキ屋に到着した頃には、寿々花さんご所望のデコレーションケーキは既に売り切れ。

そうか…。そういうこと、してくるか…。

「つい10分ほど前に、別のお客様にお買い上げ頂いて…」

マジかよ。めっちゃ悔しいパターン。

そういうことは、言わないでいて欲しかったな。

くそ…。10分前か…。

帰りのホームルームが長引いていなければ、間に合ったんじゃないの?

「ホールケーキでしたら、一応こちらにもございますが…」

と言って、店員さんがショーウィンドウの中を手で差した。

売れ残っているのは、フルーツタルトとスフレチーズケーキ。

寿々花さんご所望の、いちごのデコレーションケーキではない。

タルトとチーズケーキか…。

違うんだよなぁ。美味しいんだろうけど。…美味しいんだろうけど、今求めてるのはこれじゃない。

「えっと…他のお店に行ってみます」

店員さんに断ってから、俺は別のケーキ屋を当たってみた。

スマホで検索して、近くにケーキ屋がないか探して。

しかし、上手く行かないことは重なるものである。

別のケーキ屋を当たろうにも、一軒目は定休日。

二軒目は、「ホールケーキは要予約なんです」と言われ。

ようやく、三軒目に辿り着くと。

「済みません、つい10分前に売り切れました」

「…」

…さっきも聞いたよ、その台詞。

誰?俺がケーキを買おうとしてるのを知って、悪意ある何者かが先回りして買ってるんじゃね?

おまけに、三軒目にやって来たケーキ屋には。

フルーツタルトやチーズケーキなどの、別のホールケーキさえ売っていなかった。

全部売り切れなんだって。夕方だから仕方ない。

あるのは、売れ残りのカットケーキだけ…。

…さすがに、もう近くにケーキ屋はない。

これ以上遠くのケーキ屋に足を伸ばしても、見つからない気がする。

先日の委員会決めのあみだくじのときから、妙に俺の運勢悪くなってないか?

まさか、ケーキの女神からも見放されるとは…。

さて、どうしたものか。