アンハッピー・ウエディング〜前編〜

…さてと。それはさておき。

「…それで?ランキング入りしてなかったら何だって?パシリにする…とか言ってたよな?」 

俺と乙無は、絶句している雛堂を振り返った。

随分言ってくれたじゃないか。なぁ?

空の青さに現実逃避してた奴が。

「あわわ。あわわわ…」

…そうだな。とりあえず。

「メロンパン、宜しく」

「僕はチョココロネで」

「おっす!行ってきゃーっす!」

雛堂、半泣きだった。

仕方ないな。自分が言い出したことだからな。

まぁパン買ってこいは冗談だけど。

「兄さん達二人共ランクインするとか、神かよ…」

「僕は神ではありません。邪神イングレア様の眷属です」

「眷属ってそんな頭良いのかよ。自分もなろっかなー眷属」

眷属になって人間やめる前に、普通に勉強したらどうなんだ?

そっちの方が、余程頭良くなれると思うぞ。

それに、俺は大して凄くないぞ。

学年で三番、と聞けば何やら賢いように聞こえるが、一学年十数人しかいないから。

「乙無も凄いけどさ…。それよりも、女子部の学年首位の方が凄いんじゃないか?」

女子部は、一学年100人以上いるからな。

その中で一番って、そりゃもうとんでもなく頭が良いに決まっ、

「うわ、本当だ。見ろよ、女子部二年の学年首位!あれ、例の無月院のお嬢様じゃん」

…え?

「学年だけじゃなくて、総合一位だそうですよ」

「ふぇぇ、五教科総合得点500点?ってことは、全科目満点ってことじゃん。やべー。さすが無月院家のお嬢様。凡人とは格が違うな」

…えぇ!?

乙無が学年首位だったことより、自分がランキング三位だったことより激しく動揺していた。

慌てて掲示板を見上げ、女子部のランキングを確認する。

二年生のランキング首位に書いてあったのは、無月院寿々花、の名前。

同時に、全学年総合ランキングを見る。

一番上に、無月院寿々花の名前が載っていた。

しかも、五教科総合得点500点と書いてある。

一科目100点満点なのだから、総合500点ってことは…雛堂の言う通り、五教科全部満点だったってことだ。

じゃあ…じゃあ、本当に?

まさか、同じ学校に同姓同名の生徒がいる…とかじゃないよな?

無月院なんて珍しい名字が、二人もいてたまるか。

ってことは…本当に、うちの寿々花さんが…学年で一番、どころか。

男子部女子部引っくるめて、学校で一番の成績を取ったってことだ。

俺はもしかしたら、これまでずっと寿々花さんを侮っていたのかもしれない。