アンハッピー・ウエディング〜前編〜

その後、雛堂と乙無の三人でファミレスに行き、打ち上げをやった。

打ち上げと言っても、大したことはしてない。

ドリンクバーとパフェのセットを頼んで、それらを飲み食いしながらダベってただけだよ。

現実を忘れたいらしく、雛堂はいつにも増して大はしゃぎだった。

現実逃避は結構だけど、いくら騒いだって、試験の点数は変わらないぞ。

…ところで。

寿々花さんの方は、試験…どうだったんだろうな?

試験最後の日まで、めちゃくちゃ頑張って勉強してたからな。

あれが本当に、あの怠惰だった寿々花さんなのかと、疑いたくなるくらい。

試験の点数如何に関わらず、「お願い事」とやらは聞いてやるつもりだった。

頑張ったんだから、その分のご褒美はもらわないと。なぁ?

今後の試験のモチベーションにも繋がるしな。

ファミレスで打ち上げを終えた後、俺は夕食の買い出しの為に近所のスーパーに寄った。

すると偶然この日、スーパーの前にベビーカステラを売るキッチンカーが来ていた。

やけに良い匂いすると思ったら、これかよ。

折角だから買っていこうかな。

ほら、俺は雛堂達とファミレスでパフェ食べて、試験の打ち上げをしたけど。

寿々花さんは、そういった打ち上げに参加してないんだろうから。

その代わりと言っては何だが、ベビーカステラ買って帰ろう。

そんなことをしていたら、結局遅くなってしまった。

多分、もう寿々花さんは帰宅してるだろうな。

留守番させてしまって申し訳ない。

買い物袋を両手に持って、俺は家路を急いだ。

案の定、帰ってきてみると、家の鍵は開いていた。

「ただいま、寿々花さん。遅くなって悪かっ…。…!?」

「…」

玄関に入った瞬間、俺はびっくりして立ち尽くしてしまった。

…何がいるのかと思ったら、寿々花さんだった。

制服姿の寿々花さんが、玄関の隅に丸まって体育座りして。

ずーん、と暗い負のオーラを放っていた。

鞄を放り出して、靴を履いたまま。

どうしたんだ、これは一体。