アンハッピー・ウエディング〜前編〜

それから俺は中間試験の日まで、毎日試験勉強を始めた。

…それは良いのだが。

実は、心配なことが一つある。

と言うのも…。




「もぐもぐ。もぐもぐ」

「…」

「もぐもぐ。ごくん。悠理君、ご馳走様ー」

…はい。お粗末様でした。

「それじゃ、私部屋に戻るね」

夕食を食べ終わるなり、寿々花さんはスッと席を立った。 

これから部屋に戻って、それで…。

「部屋で…勉強するのか?」

「うん、勿論」

「…」

…何ということでしょう。

劇的ビフォーアフター過ぎないか?

あの寿々花お嬢さんが、真面目に勉強してるなんて。

今日だけじゃない。ここ最近、毎日そうだ。

あれだけ毎日、俺の家事や勉強の邪魔をして「遊ぼう」と誘ってきたのに。

毎日おままごとやお絵描きや、色んな遊びに付き合わされてたのに。

最近はめっきり、遊ぼうとせがんでくることはなくなった。

その代わり、ずーっと自分の部屋にこもっている。

多分、部屋でテキストとノートを広げて、試験勉強をしてるんだろう。

家に居るときの寿々花さんは、最近毎日こんな感じ。

かろうじて、食事の時間にこうしてキッチンに降りてくるくらいで。

それ以外のときは、ほぼずっと自分の部屋に閉じこもってる。

…あの寿々花お嬢さんが、だぞ?

あまりの突然変異に、俺の中で寿々花さんドッペルゲンガー説が浮上してるよ。

偽物じゃないよな?大丈夫だよな?

「あんた…本当に寿々花さんだよな?」

「…??よく分かんないけど、私は寿々花ちゃんだよ」

「…そうか…」

じゃあ、ドッペルゲンガーではないってことなんだろうな。

分かったよ。