アンハッピー・ウエディング〜前編〜

そうして、向かったのは近くにあるレンタルビデオ店。

「さーて、どれにしよっかなー」

雛堂は早速、レンタルDVDコーナーを物色。

色々あるんだな…。レンタルランキングだって。

ゴールデンウィーク二日目ということもあって、店内はそこそこ賑わっている。

「雛堂は、よくここに来るのか」

「そうな。まぁ、月に二、三回は来るな」

へぇ。二、三回…。

常連とまでは呼べないかもしれないが、定期的に通ってるんだ。

「だってほら、映画館で観ると高いじゃん?学割利いてても一本1500円とかするし」

最近の映画館って、そんなに高いの?

激安特価の米買えるじゃん。5キロの。

「そこにコーラとポップコーン付けてみ?一回で三千円近くぶっ飛んでくんだもん」

「それはヤバいな…。二日分の食費じゃん…」

「だろ?それでも面白い映画だったら惜しくないけど。そこまで金出したのに、ハズレ映画だったときのショックはもっとヤバいぞ」

それはもう…三千円ドブに捨てたようなもんだな。

「だから、どうしても映画館で観たい作品以外は、こうやってレンタルが始まるまで待つことにしてんだー」

成程。節約術だな。

そうだよな。映画館で観たら高いけど、DVDをレンタルして家で観たら。

スーパーで買ったコーラとポップコーンを付けても、映画館で観るより遥かに安く抑えられる。

十分の一くらい安いんじゃないの?

「でも、映画館で観るほどの迫力はないですよね」

と、乙無。

それはまぁそうなんだけど…。どうやっても、映画館に比べたら家のテレビの画面は小さいしな。

「だから、どうしても観たい奴だけ映画館で観てさ。ちょっと気になるなーくらいの映画だったら、こうやって暇なときにレンタルして観ることにしてんだよ」

とのこと。

「そうしたら、ハズレ映画だとしてもショックが少ないからな」

「成程…。雛堂も色々考えてるんだな」

「そりゃあそうだよ。伊達に貧乏学生やってねぇから」

あ、そうか…。

雛堂も、あんまり裕福な方じゃないんだっけ…。

それで、わざわざ学費の安い聖青薔薇学園に入学したと言っていたし…。

「つっても、チビ共がテレビ独占したがるからなー。レンタルしたのは良いものの、観る時間なくてそのまま返すこともあるんだよなー」

「それじゃあレンタル損じゃないですか。節約になってませんよ」

「全くだぜ」

借りたなら観ろよ。勿体ないだろ。

と言いたいところだが…雛堂にも雛堂の事情があるんだろうし。

チビ共ね…。たまに言ってるけど。

雛堂の家、兄弟が多いんだろうか。

俺だって家庭の事情に踏み入られたくはないから、こちらから聞くつもりはない。

「さて、それじゃあ選ぶとするか…。折角だから、二人共何か借りてかない?」

…俺も?