アンハッピー・ウエディング〜前編〜

ドーナツを堪能した後。

「あー、もう無理。もう何も食べられねぇ。ポッキー一本でも無理」

雛堂、ギブアップ宣言。

食べ歩きも終了だな。

食べ歩きって言うか…最初の一軒目でほぼ潰れてるようなもんだけど。

「僕はまだまだ大丈夫ですけどね」

一方の乙無は、この余裕の表情だった。

あんたは只者じゃねぇよ。

今日一番楽しんだのは、もしかして乙無かもな。

「俺ももう食えねぇわ…」

さすがに限界だよ。

今晩、夕食食べれなさそう。

って言うか、にんにくのせいで胃もたれしないか心配。

「じゃ、そろそろ解散ですか?」

「そうだな。つっても、自分はこれから寄り道して帰るけど」

…寄り道?

「真っ直ぐ帰らないのか」

「うん。レンタルビデオ屋に寄って帰るんだわ」

あ、そう…。

「今日が終わったら、明日からゴールデンウィークずっと暇だからさー。二、三本映画借りて観ようかと思って」

成程。そういや、雛堂はよくレンタルビデオショップに通ってるんだっけ。

俺はまだ行ったことないけど…。

「良かったら、お兄さん達も一緒に来ないか?」

俺達も一緒に?

今のところ、レンタルビデオ屋に用はないんだが…。

でも、どうせ俺も寄り道して帰るんだよな。

スーパーに寄って帰るつもりだったから。

家で待ってる寿々花さんのことは気にかかるが…。

…もう少し、雛堂に付き合っても良いかな。

「分かった。付き合うよ」

「そう来なくちゃ。星見の兄さんは分かってるなー。じゃ、乙無の兄さんも一緒に行こうぜ」

「ちょっと、勝手に決めないでください。僕は帰りますよ。あなた方と違って僕は忙しくて…」

「まぁまぁ良いじゃねぇの、今日は有給だって。神様も今日くらいゆっくりするの許してくれるよ」

「ただの神様じゃありませんよ。邪神イングレア様です」

雛堂は乙無の背中をぐいぐい押して、強引に付き合わせたのだった。