アンハッピー・ウエディング〜前編〜

10分近く歩いて、雛堂おすすめの中華まんの店に到着。

スムージーのお陰か、少し歩いたお陰か。

中華まん一つくらいなら、何とか食べられそうだ。

「ここだよ。ここのピリ辛ジューシー肉まんってのがおすすめでさー」

「ちょっと待てって。自分で決めさせてくれ」

また大盛りとか…今度はLサイズとか頼まれたら、さすがに食べ切れん。

「Sサイズとかないのか?」

「どれも同じ大きさだよ」

「…仕方ない。じゃあ、俺も雛堂と同じ奴で」
 
ノーマルの肉まんじゃなくて、ピリ辛なのがおすすめなのか。

別にノーマルでもピリ辛でも良いけど…。

すると。

俺はふと、店先に貼られた「テイクアウトOK」の張り紙が目に入った。

…あ、そうだ…。

「あいよ。えーと、じゃあピリ辛ジューシー肉まんを三つ…」

「あ、雛堂ちょっと待ってくれ」

店員さんに注文する前に、横から口を挟んで止めた。

「ん?どうした?」

「今ここで食べる分と、テイクアウトでもう一つ…いや、もう二つ頼んでも良いか?」

「テイクアウト?良いけど…」

家で留守番をしている、寿々花さんへのお土産である。

良い子でお留守番してる(はず)なんだから、お土産くらいないとな。

肉まん、好きだったら良いんだけど…。

雛堂おすすめのピリ辛と…もし寿々花さんが辛いもの駄目だったときの為に、ノーマルも一個買っておこう。

お子様舌だからな。辛いもの駄目かもしれない。

「あ、分かった。お姉ちゃんと妹ちゃんへのお土産だな?」

にやにやしながら、雛堂が聞いてきた。

何だよ。冷やかしのつもりか。

「…別に良いだろ、誰へのお土産だろうと」

「この間もおままごとセット買ってあげてたしな。いやぁ、良いお兄ちゃんだよ君は」

うるせぇ。

「意外とシスコンなんですね、悠理さんって」

乙無もうるせぇぞ。

中二病に言われる筋合いはない。
 
そして寿々花さんは姉妹じゃないから、俺はシスコンではない。

「あと、僕はピリ辛肉まんじゃなくて、こっちのあんこバターまんにします」

また甘いものかよ。

さっき、桜餅であんこ食べてただろうに。

こうして、結局俺と雛堂はピリ辛肉まんを。

乙無はあんこバターまんを注文。

更にテイクアウトとして、ピリ辛とノーマルの肉まんを一個ずつ購入した。

おすすめと言うだけあって、肉まんはとても美味しかった。

これでお腹いっぱいじゃなかったら、多分もっと美味しかったんだろうに。残念だ。