アンハッピー・ウエディング〜前編〜

…味は、とても美味しかったのだけど。

やっぱり、にんにくは大量に食べるものじゃないな。

最初の一口目は美味しかったが、食べ進めるに従って段々辛くなってきた。

にんにくが多過ぎるんだよ。

二、三個あれば充分だった。

食べても食べても、豚と米が出てこない。

山のようなにんにくを平らげて、ようやく。

どんぶりの下半分から、申し訳無さそうに豚肉と白米が出てきたよ。

その時点で、もう既にお腹いっぱい状態だったんだが。

残すのは勿体ないし、豚肉と白米を残したら、それもうにんにく豚丼じゃなくて、ただのにんにくじゃん。って思って。

気合いで何とか食べましたよ。

折角美味しかったのに、お腹いっぱい過ぎて、ちゃんと味わえなかった。

悔しい。

「はー、食べた食べた…。今日も美味かったなぁ」

雛堂は早々ににんにく豚丼を平らげて、満足そうな顔。

この野郎。

遅れ馳せながら、俺も何とか完食。

乙無の方も、いつの間にかどんぶりを空にしていた。

雛堂はともかく、乙無はよく食べられたな。

あまりにも量が多過ぎだよ。

しかも、店内のメニュー表をよく見たら。

「特盛りじゃなくて、普通盛りのにんにく豚丼もあるんじゃないか…」

雛堂に勝手に注文されたから、メニュー表なんて見なかったけど。

にんにくの量、小盛り、普通盛り、大盛り、特盛りの中から選べるようになっている。

小盛りはにんにく二つ、普通盛りは四つだってさ。写真が載ってる。

特盛りだけ異常な数なんだけど。これでもか!ってくらい乗せちゃって。

絶対普通盛りにしておくべきだっただろ。

少なくとも、初心者は普通盛りから始めるべきだったのでは?

「え?だって自分、いつも特盛り食ってるから…」

「あんたは毎回食ってるのかもしれないけど、俺達は初めてなんだから…」

もうちょっと、気遣いがあっても良かったんじゃないの?

せめて、メニューは自分で決めさせて欲しかった。

「まぁ良いじゃん。美味かったんだから!また今度来ようぜ」

何だ、その理屈は。美味けりゃ良いじゃんってか?

また来るのは賛成だけど、そのときは俺、今度こそラーメンを頼むからな。