アンハッピー・ウエディング〜前編〜

…寿々花さんのことが心配ではあるが。

留守を託して出てきてしまったからには、もう彼女を信用して任せるしかあるまい。

一日中ずっと気にしてたら、折角遊びに来た意味がない。

「お、来た来た。星見の兄さん。5分遅刻だぞー」

「ごめん…」

待ち合わせ場所のバス停に着くと、既に雛堂と乙無が待っていた。

「待ち合わせをするときは、5分前行動を心掛けて欲しいですね」

口を尖らせる乙無である。

…悪かったって。

俺も5分前に着くように出掛けるつもりだってんだよ。

でも出先に、最後まで寿々花さんと色々話してたから。

そのせいでちょっと遅れた。言い訳だけど。

…それよりも、どうしても聞きたいことがある。

「…乙無、その服何?」

「…何ですか。何か問題があります?」

「問題っつーか…黒くね?」

乙無の着ている服は、手首までぴっちりした黒いシャツに、これまたぴっちりとした黒いスラックス。

靴まで全部黒くて、全身真っ黒コーデなんだけど。

これ、最近の流行りか何か?

「気になるよなー、自分も初見で『カラスかよ!』って思ったもん」

と、雛堂。

成程、カラス…。的確な例えだ。

「それはあれか。株式会社邪神の眷属の制服みたいな感じ?」

「…あなたは邪神の眷属を何だと思ってるんですか。違いますよ」

いずれにしても、乙無の趣味なんだろうな。

なんつーか、相変わらず痛い趣味してんなぁ。

「ちょっと、悠理さん。あなた、今何か誤解してるでしょう」

「誤解なんてしてねぇよ…。正しい認識してるだけだよ」

まだ5月だから良いけど、真夏でもそのカラスコーデなんだろうか。

キツいな。色んな意味で。

一緒にいる俺と雛堂まで、怪しい趣味だと思われなきゃ良いけど。

「ま、いーや。ようやく三人揃ったんだから、そろそろ行こうぜ」

「そうだな…」

「よし、じゃあ早速、商店街食べ歩きの旅に出発」

と言う、雛堂の案内で。

俺達三人は、早速地元の商店街に向かった。