アンハッピー・ウエディング〜前編〜

さて、ショッピングセンターに到着。

早速、キッチン用品売り場に行ってみた。

「わー。色々あるねー」

「おぉ…。さすが都会だな」

地元の近所のホームセンターとは訳が違うな。

お洒落なカトラリーグッズが揃っている。

フライパンだけじゃなくて、お皿とかランチョンマットとか。

「面白いね、おままごとの玩具みたい。悠理君、これ何に使うの?」

「おい、勝手に触るなって…。それはおろし金だよ」

「おろし金?」

大根とか生姜とかをすり下ろす道具だ。

「こっちは何?盾みたいだね」

「盾じゃなくて、落とし蓋だよ」

煮物作るときに使う道具だ。

「こっちのこれは何?」

「それは…バターケースだな」

バターを小さくカットして、保存しておく容器だな。

「凄いねぇ、いっぱいあるんだ」

興味津々の寿々花さんである。

俺もそこまで詳しくないけど、最近、お洒落なキッチングッズって需要あるもんな。

自宅用には勿論、プレゼントにもおすすめである。

プレゼントする相手、いないけどな。

「それで、悠理君が欲しいものは何だっけ?」

「フライパンだよ」

「フライパンかー。知ってるよ、触ったら熱い奴…。これでしょ?」

「…それは土鍋だよ…」

せめて、フライパンくらいは知ってて欲しかったな。世間一般の常識として。

土鍋とフライパンの区別もつかない寿々花さんは置いといて。
 
さっさと自分の必要なもの、選んでしまおう。

「26センチにするか…。いや、大き過ぎるか…?」

でも、大は小を兼ねるって言うしな。

だからって大き過ぎても、火の通りが悪くなりそうだし…。

間を取って、24センチくらいの…。

「悠理君、これは?何だか本格的だよ」

「…それはホットプレートだよ」

便利だけども。そりゃホットプレートもあったら便利だけども。

フライパンの代わりにするには、不便だと思うんだよ。

「そっかー、駄目なのか…。じゃあこっちは?ちっちゃいけど、二つもついててお得だよ」

「それはホットサンドメーカーだ」

それも便利だけど。美味しいホットサンドが食べられるけども。

でも、それもフライパンの代わりにはならないの。

「そっかー。悠理君のお買い物は難しいんだね…」

フライパン買うだけなのに、何も難しいことはないと思うんだが?

「…やっぱり、大きいのにしておこうかな…」

「どうせなら、一番高くて一番良いのにしたら?」

…一番高いの?

寿々花さんが指差したのは、この売り場の中でもひときわ高級そうな…。

それこそ、何処ぞのレストランのシェフが使うような、立派な銅製のフライパンであった。

…すげー。こんなの初めて見た。

そして、そのお値段を見て、思わず目を疑った。

普段買ってる安物のフライパンとは、文字通り桁が違うよ。