アンハッピー・ウエディング〜前編〜

勉強は始めたばっかりのところだったし、明日も早起きしてお弁当作らなきゃいけないし。

断じて、お嬢さんの絵しりとりなんかしてる場合じゃないのに。

結局その日は、日付が変わる頃まで、お嬢さんの遊びに付き合わされた。

絵しりとりって、普通のしりとりより遥かに難しいんだな。

何が難しいって、思いついた言葉を絵にして、上手く相手に伝えるのが結構難しい。

俺自身、そんなに絵が上手い人間じゃないから、余計にな。
 
ギターのつもりで描いたのに、全然ギターに見えない。変な模様の入ったスコップみたいになった。

俺の画力のなさもさることながら、お嬢さんなんて、俺よりもっと壊滅的で、何描いてんのか全然分かんねぇし。

絵しりとりって意外と難しいものなんだなぁ、と感心してしまった。

…って、感心してる場合じゃねぇんだよ。

結局、あの後疲れて寝てしまって、勉強どころじゃなかったし。

お嬢さんは楽しそうだったけど、俺はもう二度と御免だからな。

そして、絵しりとりの翌日。

今日こそ誰にも邪魔されずに、昨日の分も取り戻すように勉強に励もう…と、していたのだが。
 
案の定、それを邪魔する者がやって来た。

「悠理君、あーそーぼー」

またしても、小学校低学年みたいなノリで。

ノックもせずにやって来たよ。

今度から、鍵かけておこうかな?部屋に。

「来たな…。このおままごとお嬢さんが…」

今夜も来るんじゃないかと思ってたよ。案の定だったな。