「はぁ、はぁ」
 
 気づけば6時間近く歩いていた。さすがに疲れたし、お腹も空いている。先を見ると、白百合があと数本咲いていた。
「あとちょっと…」
何かあるという保証もないのになぜか足を止めることができなかった。

 最後の白百合にたどり着くと、ついに足は限界を迎え、その場に崩れ落ちた。雨と汗でびしょびしょの制服は肌に張り付き気持ちが悪いし、薄暗い森のなかは気味が悪かった。

 空腹と疲労で吐き気がし、精神的にもおかしくなりそうだった。スマホで時間を見ると午後5時。今から帰っても夜になってしまう。私のことを心配してくれる人なんていないし、もういっそここで死んだほうがマシだ。