1階に降りると、いい香りと包丁で何かを切る音がした。

「…おはよ」
「あ、凛花。おはよう」
「何してるの?」
「何って、料理!」

ああ、そうかここは料理屋だった。初季は忙しそうに野菜を切ったり、コンロに火をつけたりしている。

「1人でやってるから、作り置きしないと間に合わないんだよ…」
「ずっと1人でやってきたの?」
「まあな。5年くらい」
「え?じゃあ中学生の時から?」
「親が料理人だったんだ。小学生の時にはもう包丁を握ってた」
「えっ…すごい」