宛先不明の伝書鳩

朝一番、店を開ける前の少し早い時間。

リリーはこれ以上ない思いつめたような顔をして、シグの家の前に来ていた。

兄からの顛末を聞いたリリーはシグに対して申し訳なさでいっぱいだった。

いや、本当にかなり儲けさせてもらいましたけど!!しかもおばさんが口コミで広めてくれたんですけど!!
兄は呆然とした顔をしていた。

少しホッとしたような、それでいて唖然とした表情だった。口を半開きにして目は呆れているに近い。

シグに対して誤解を解きたい。まず、貴方のお母さんからの依頼なんだよってこと。
手紙は困惑して別の人に送るものを鳩が間違っておくっていたのかと思っていたこと。兄に教えてもらいそれは私だったこと。送ってもらった手紙は人違いと思いながらもこれが私だったらと思うと少しだけときめいていたこと。

どうせ手紙も終わるし、きっとシグはがっかりしているだろう。