宛先不明の伝書鳩



兄がその言葉にわかりやすく固まった。が、表情はどんどん曇った。
んん?なんか不機嫌?若干リリーは冷汗をかきながら、地雷を踏んでしまったことを悟った。いかつい顔が鬼のように歯を食いしばったかと思えば、す、と表情を消した。

「……気になるのか?」

いつもより低い声で問われる。その声色はなんの表情もなくて、リリーはなんていうか戸惑った。その若干の間で兄の表情は暗く落ち込んだように陰りを見せた。しかしリリーはその表情の意味がわからなくて首を傾けた。

「いや、だっておばさんが気にしてたから」

なんせハンカチに一生愛してると縫ってくれとせがむくらい、彼を心配していたのだ。
その安否は知るべきだと思うし、もし、なにかあったらおばさんになんて声をかけたらいいのだろうか。兄は一気にカップを煽って、ミルクティーを飲み干した。机に叩きつけるようにカップを置いたとき、妙に覚悟が決まった顔をした。

「お前は気にならないのか?その」