まあ、今は良くても結局のところは廃部になってしまう、ということか。気づいたら弘樹はいなくなっていて、自分のパートのところにいた。
 今日も吹奏楽部の人たちが演奏してくれるみたい。昨日は今大人気のアニメの曲を演奏してくれて、見学に来ていたみんなが(といっても昨日来てたのは私を抜いて美空ちゃんと友唯ちゃんだけだったけど。)テンション上がってた。
 今日は私を除いて見学に来た子は3人いる。しかし、演奏が始まる直前、一人の女の子が入ってくる。名前は確か愛依(めい)ちゃんだった気がする。彼女はメガネをつけていて、真面目そうだが、結構人当たりがよく、話しかけられれば親しめると思う。しかし優夢の人見知りな性格で、話しかけるタイミングを失い、同じクラスなのに全く話したことがない。
 そんなことを考えていると、
「これから演奏を始めます!」
 と、部長が言い、みんなが返事をする。今日は最近人気のJ-POPの曲。曲を聞くことが好きな優夢はもちろんこの曲を知っている。
 しかし演奏の時間はすぐに終わってしまい…
「ではこれから見学に来ている1年生たちに楽器体験をしてもらいます!」
 部長が言う。
「私は……」
 昨日、既にたくさんの楽器を体験した優夢は、なんの楽器を体験するか、迷っていた。本当は昨日の体験でもやったけど、もう一回クラリネットをやりたいと思っていた。でも自分から話しかけるのだけは無理! そう思っていると、
「君、確か優夢ちゃんだったよね? 昨日パーカッションやってないんじゃない? せっかくだしやろうよ!」