やっぱりただ8分音符を叩くだけというのは、やっぱり物足りないような気もするが、色んな音が重なっていくごとに心が弾む。それに、基礎合奏は全部のパートで音を合わせられる貴重な時間だ。曲の練習が始まると、全部のパートで合わせることが結構増えるらしいが、まだ曲練をやっていないから、全体で合わせられるのは基礎合奏の時間だけ。そんなことを考えると、真剣に取り組める気がした。
 それが終わったら解散して各自下校。優夢はいつもの3人と一緒に帰り道を歩く。
 歩いていると友唯ちゃんが、
「トランペット、マジで難しい……」
 そんなことを言い始める。すると愛依ちゃんも、
「クラリネットもかなり難しいです。」
 そうやって言う。やっぱり管楽器は打楽器よりも少し難しいのかな? 打楽器には打楽器の人にしか分からない難しさがあるけど、管楽器にもそういうのがあるのかな?
「そういえば、優夢ってパーカッションだよね? やっぱりパーカッションは簡単そうでいいな……」
 そんなことを言う美空ちゃんに、
「そんなことないよ! だって、ピッタリ真ん中を叩かないといい音は出ないし、力が入りすぎても弱すぎてもだめだし、何より腕で三角形を作るイメージで叩くっていうのが一番難しいの。」
 そうやって優夢は答える。やっぱりこれは打楽器をやっている人にしか分からないのかもしれない。
「そうなんだ~。打楽器には打楽器の難しさがあるんだね〜。管楽器にもそういうのあるし。例えば、息の強さの加減とか。」
 やっぱり管楽器の難しさは打楽器の人には分からない。逆に、打楽器の難しさは管楽器の人には分からない。でも、どのパートでも、共通の難しいところがある。それは……
「「「「それよりも周りと音を合わせるのが一番難しい!」」」」