「そういえば、先輩は1年生が購入しなければいけないものを教えてあげてね〜!」
そう顧問の先生が言うと、
「そうか。それも教えないとな。 パーカッションの1年生が用意するものは、譜面台だけで良い。だから、この封筒に譜面台のお金を入れて持ってくれば良い。 ただ、ドラムを叩いたりするときに使うバチを近いうちに買っておいてほしい。」
「わ、分かりました!」
 陸斗先輩に言われて返事をした。すると穂香は、
「一応先輩の使ってたバチもまだ何組か置いてあるからそんなに急がなくてもいいけど、せっかくなら自分のバチがあったほうが良いと思うし、用意しておいてね! 一応楽器屋さんとかに行けば色々なバチが売ってるから、自分に一番合うバチを探してみて!」
 なるほど、楽器屋さん…… 家のすぐ近くにはないけど家族とよく行くデパートに楽器屋さんもあったっけ…… 今週末行ってみよっと!


 日曜日。優夢は家族と一緒にデパートに来た。 やっぱりデパートに来るとテンション上がるな…… そんなことを思いながら楽器屋さんの前に来る。
 入口のすぐ近くにはピアノや電子ドラムが置いてあり、奥の方には管楽器やピアノの楽譜が置いてある。ドラムのバチはその向かい側にあった。
「え、これ、全部バチ!?」
 そこには何組ものバチが置いてある。30種類くらいはありそうだ。どれが良いんだろう……
途方に暮れていると、店員さんらしき人がやってきて、
「バチをお探しですか?」
 と声をかけてくれた。