えっと、すごい仲良い感じだけど、あれ、私もしかして場違いだったり、


「あっ朱里!この子夏野誠!あたしと同じ中学だったんだ〜」


ゆいちゃんのその言葉にはっと我に返った私は、反射的に前を向いた時、彼とぱちりと目が合ってしまった。




「?あれ、君、」


「あ、あ、あのっ!わ、わたし、藤沢、朱里っていいます、!よろしく!」


夏野くんがそうやって何かをいいかけたけど、ゆいちゃんの急な自己紹介に驚いて、自分でも呆れてしまう程の早口で変な声が出た。



な、何やってるんだ私…せっかく何か言いかけてたのに…止めてしまった…



「ふはっ、よろしくね、藤沢さん」


1人でどんより落ち込んでいると、太陽みたいにそう言って明るく笑った夏野くんに、ふいにもドキリと心臓が高鳴る。



「ゆいと仲良くしてやって?」


「ちょっと、もうあたしと朱里は仲良いんです〜」


「どーせ持ち前の強引さで無理やりだろ?」


「ちょっ!なんてこというのよ!」


ねー?朱里、と、ゆいちゃんが私の肩にもたれかかってそう言ったけど、ドキドキとうるさい心臓はまだ落ち着いてくれなくて、自分でもわかるくらい緊張して引きつった笑みがこぼれる。



友達ができたことは嬉しいけど、まさかあの時一目惚れしてしまった夏野くんが目の前にいるって考えただけでも、自然と顔が赤くなってしまう。



まだ高鳴る胸をぎゅっと抑えたまま、チャイムが鳴り響くグラウンドを窓から眺めることしか出来なかった。