「………すごい」



4人が走った後、私は思わず呟いた。



「すごいですよね? 植倉先輩!」



あの男子学生が私に話しかけてきた。

ニコニコ笑顔で。



「ものすごく…速かったですね」



植倉さんは4人の中でぶっちぎりの1位でした。



「速さもすごいですけど、走りが綺麗じゃないですか? 俺はあの走りを見て、植倉先輩のファンになったんです…」

「いつも真剣な顔してて、近寄りがたい雰囲気の人なのに、どうしてクラスまで植倉さんを見に来るファンが居るのか謎だったけど、納得です」

「もしかして……植倉先輩と…」

「同じクラスです」

「すごい! 植倉先輩と話した事ありますか? どんな事話しましたか? 席が隣になった事」

「あなたファンじゃないでしょ?」

「…何言ってるんですか? 俺はファン」

「あなた植倉さんの事、好きでしょ?
恋、してるんでしょ?」