9月半ばの土曜日のある日、部活帰りの公園で貴重な2人のデートをしていた。
「文化祭の準備が始まるでしょ?」
「そうだね、愛菜のクラスは決まった?」
「うん、隣のクラスと合同で迷路をするの」
「へぇ……面白そう」
「教室は狭いから卓球場を借りて作るのよ、理久斗くんのクラスは決まった?」
「僕らはカフェをするみたいだけど、希望のクラスが多いから予算とか内容で決まるらしくてまだ正式決定ではないらしい」
「……部活に出れない時もあるかも、ごめんね、一緒に帰れない時も出てくると思うよ」
「うん、それは仕方ないよ、お互い連絡しような」
「うん!」
うちの文化祭は10月の終わりの週の金曜日と土曜日に開催される。
金曜日は学校内の人達で土曜日は一般参加もOKだった。
弓道部は一般の日に矢を引ける体験を毎年行っていて2年は交代で当番がある。
「2日目の当番……一緒がいいな」
僕が言うと愛菜は頷いた。
それだけ話すとベンチで軽くハグをして帰った。
次の日の日曜日は午前中の練習で部活終わりに門で待っていると、いつも自転車を押してくる愛菜が小走りで走ってきた。
「ごめん、待ったでしょ」
ハァハァと軽く息をきらしている。
「ちょっと遅いなと思ったけど自転車は?」
「鍵が無くて……リュックの中を探してたんだけど見つからないの、どうしよう、落としたのかな」



