六年ぶりに再会した高校時代の同級生は、俳優になっていた。
(さくら)、ずっと会いたかった」
 そう言って、彼は優しく私を抱き寄せた。
 ずっと、ただの友達だと思っていた彼。
 生涯、あの人しか愛せないと思っていたのに、なぜか彼を見ると落ち着かない。
 どうして?
「契約しよう。俺が桜の失恋を慰めるカレシになるよ」
 彼が提案してきたのは、甘くて残酷な契約。
 偽物の恋人。
 好きになってはいけない。
 だけど……。
「好きだよ、桜」
「そんなにあいつがいいの?」
「俺を好きになってよ」
 毎日囁かれる甘い言葉は、次第に私の心を蝕んでいく……。