~グレイソン視点~

「閣下、この本はどうされますか? 貴重な本なので出来れば図書館の奥にある関係者以外立ち入り禁止エリアに置くという事で宜しいですよね?」

 貴重な本だからな……そうした方が良いだろう。奥にある立ち入り禁止エリアにある古書は貴重な物や価値ある本が並んでいる。王族はフリーパスだし、私は親戚だから難なく入ることができるが、モルヴァン嬢が出入りを許されるとは思えないな。興味がありそうだった……

「そうだな。そうしてくれ」

 ここでNOなどと言えば不審がられるだろう。

「閣下はモルヴァン嬢とお知り合いだったんですね? 楽しそうにお話しされていたものですから、つい」

「いや、構わない」



 楽しそうに……か。側から見たらそう見えたのだろうか。彼女の良さを知ることが出来た。その後は逃げるように図書館に入ってしまった。私の態度でも悪かったらのだろうか……


「椅子と机も閣下のご指導の上設置しましたが気に入ってもらえましたか?」

「あ、あぁ。いい場所だった」

 なぜニヤついている、司書よ!


「前々から気になってはいたのですが、予算等ありますし来年度まで持ち越しという話だったんですが鶴の一声ですね、早かったですね~」

 来年度? 使っていない家具を使わせてもらったのなら問題ないだろう。どうせ余っていたのだからどんどん使わせれば良い。古いものだがとても良い家具だったし図書館の雰囲気にも合っていた。


「あぁ、まさか陛下に相談するとは思っていなかったが、早くて何よりだ」

「陛下が気に入っている場所ですから勝手に置くよりも相談した方がいいという上の判断です」

「モルヴァン嬢はあの辺りの古書を借りるのか? 今日は本を返しにきたと聞いたのだが」

「古い本なので読むだけにしているそうですよ。何かあっては責任が取れないと言っていましたね。彼女は真面目なんですよね~最近借りた本は小説でしたよ。確か騎士系の人気のロマンス小説です」


 ……ロマンス小説か。手に取った事はないがなぜ司書はニヤついているのか!


「女性に人気なんですよ! 閣下も令嬢憧れの職業(騎士)なんですから是非お読みください。参考になりますよ!」