「あら? こんなところにソファが?、」

 古代語の本が並んでいるスペースにソファが設置されていました。硬くもなく柔らかすぎず、座り心地が良さそうな歴史を感じさせるベルベット素材のソファでした。

「配置換えをしたんですよ。ここにソファがあるとリラックス出来ると思い、置いてみました」

 近くにいた司書様から返事が返ってきた。こちらの司書様は子爵家のご子息だそうで、王国の歴史を勉強されている学者様でもあります。図書館で働いて蔵書に囲まれる幸せな職場だとキラキラした顔で言っておられましたわ。この方、本が恋人なのだと揶揄われていましたわ。

「歴史がありそうなソファですのによろしいのですか?」

 派手さはないけれど、ベルベットの手触りも素晴らしくよく、何より作りが繊細で美しいのです。

「どうぞ、どうぞ。このコーナーは人も少ないですし、ゆっくりして行ってください。少しずつ配置を変えながら図書館に来てくださる方にリラックスして貰えるよう配慮していきますので、また感想を聞かせてくださると助かります」

「まぁ。それでしたら遠慮なく利用させていただきますわね」

 本を選ぶといいながら、夢中になり立ち読みをして気がついたら足が浮腫んでしまう事も多々……本をとって離れた場所にあるソファまで行くのが面倒だったりしますもの……助かりますわ。

 読みかけの本を手に取り、ソファに腰掛ける。そしてノートを取り出し膝に乗せ、気になったところや要点をノートに纏めていた。ソファがあるおかげで調べ物が捗りますわね。


 学園ではテストが始まろうとしていたので、流石に趣味の調べ物のために王宮図書館まで行くことは出来なくなりました。来期にはハリスとパティが入学してきますので、姉として恥ずかしくない点数を取らなくてはいけませんのでテスト勉強をしていました。

 私は五位、セシリーはいい成績を取る発言の通り十位でした。セシリーの成績は大幅にアップしていて復習の大事さを知りました。