「あら! 絵姿より素敵ね」

 開口一番そう言われた。対するリル王国の王女は美女だと聞いていたが迫力のある美人だ。来月の結婚式に向けて色々と準備を進める中で、少しずつ話をするようになった。大臣達にもテキパキと指示する姿はさすが国を治める王女の貫禄がある。まだ私はなんの役にも立てないが、国民の生活がどんなものかと王都へと視察へと行く。小さな国だか恵まれた環境で、すでに私の顔が知られていて、国民から歓迎ムードのようだった。

「エリック殿下は街で人気だったようですね」

 ただ民と話をしただけだったのだが……歓迎されているようだしこちらとしても悪い気はしない。というのが正直な気持ちだった。

「私ではそうはいきませんから、夫になる人が民に受け入れられるのは嬉しいですわ」

 王女として国の代表としての厳しい一面があるからなのだそうだ。しかし国民は王女を尊敬しているようだった。

「イケメンは得ですわ。特に女性人気が凄まじかったのだとか? ふふっ」

 顔で得をしているのか……まぁ、いいか。私にはこの国でまだ誇れるものがないのだから、顔を売っていこう。

「年上女房の尻に敷かれているだなんて言われているのですって」

 ……イメージとは怖いものだな。しかし女性が活躍するのはこれからの時代必要だと思う。


「私はまだまだ甘い男なので王女からしてみたら頼りないでしょうが、これからビシバシとしごいてください」


「私は厳しいですからちゃんとついてきてきださいね」



 そう言って笑った王女の顔はなんだか可愛く思えた。この国に根を張りいつか花を咲かせようと思った瞬間だった。