「何がひどいんじゃ?」

「母上です! リル王国の王女と婚約だなんて。リュシエンヌとの婚約を認めてくれたではありませんか」

 父上が、メガネを外し私を見て来た。

「認めた? お互いの気持ちが一緒なら良い。と言っただけじゃ。己の都合のいい捉え方はやめなさい」

 ……くっ。

「母上は、血も涙もないんです。遠い小国のリル王国の王女と婚約しろと言うのですよ」

「間違えておるな」

「え!」

 間違いだったのか? 婚約しなくていいのか!

「婚約ではなく結婚じゃな。結婚式にはお前の兄を行かせるから体裁は保てる。我が国からは盛大に祝ってやるから安心せい」

「……そんな。母上は私が可愛くないんですよ! だからそんな酷な事が言えるんだ」


「決めたのはワシじゃ。王妃は心を痛め、そして心を鬼にしてお前に告げた。愛情があるからこそ自分の口から告げたんじゃ。それくらい分からんのか? だからいつまで経ってもお前の心は幼いんじゃ。リル王国の王女はハキハキとした性格で国をますます良い方向へ導く女傑だ。お前の女々しい性格が王女によって変えられることを祈る。身内では甘やかしてしまうのがオチじゃ」

 ひどい言われようではないか! それなら……