ダイニングに着くと、お母様が既にいらしてお茶を飲んでいました。

「もうすぐお父様が帰ってくるわよ。みんな席に着いて待ちましょう」

 私は特別な椅子を用意されていてそこに座る。お尻に負担が掛からないようにお父様が手配してくださったの。

 それから間もなくしてお父様が帰って来てディナーが始まる。お昼に王宮で他国のお客様を囲んでのランチ会があったのだと言う。明日はお母様が王宮に行き他国の夫人を囲んでのお茶会なのだそう。お二人とも忙しく過ごしていらっしゃいます。

 ディナーが終わるとお父様とお母様に話があると言われて、三人でお茶をしました。

「今王宮に他国からのお客様を招いているのは知っているよね?」

「勿論ですわ」

「今殿下はこの件で忙しいから、下手にお見舞いに来たり出来ない状況だし、リュシエンヌは学園を休んでいるから見舞いの花や手紙を送ってくるくらいだろう。暫くは安心だ」

「私もお母様もリュシエンヌの話を聞いて殿下は信用ならないと思っている。しかし相手は殿下だからできる事も限られていてね。私たちも動き出しているからもう少しまって欲しい」

「……ありがとうございます。殿下は婚約を打診しているという事ですが、特に何をしてくるわけではないので今のところ大丈夫ですわよ」

 リュシエンヌは両親が陛下達と連絡を取っていることは知らない。リュシエンヌの両親は知らなくて良いと思っているし、離縁などと不吉なワードを口にしたくはない父にとっては早く終わらせたいとすら思っている。
 
「そうかい? それならあとは早く身体が良くなることを祈っているよ」
「そうよ。無理をしては更に長引いてしまうからもう少し様子を見ましょう。医師も無理は禁物と言っていたわよ。お尻は大事にしましょう」

 無理をして馬車に乗るのが怖くなるのは避けたい……外出が出来なくなってしまうもの。お父様は馬車用にもクッションを用意してくれているみたいでした……