「前を見て歩きなさいな」
私はぶつかった拍子に強くお尻をついてしまいました。お尻をついたところは汚れていて制服のスカートが汚れてしまいました。これでは教室に戻る事ができません。
いつの間にかぶつかった生徒は居なくなり、私一人でお尻をついている状態。
「……いたたた」
チャイムが鳴り響き、授業に遅れる旨を伝えることは出来ません。
ひどくお尻をぶつけてしまったので、立ち上がるのに時間がかかってしまいました。お尻がヒリヒリするなど若い令嬢が言えば品位を疑われますわね。
しかし痛いものは痛いのです。右腕もお尻をついた際に捻ってしまいました。
「保健室へ行くしかないわね」
授業が始まった校舎はしん。と静まり返っていてすこし寂しく感じました。なんとか保健室へ辿り着くと、女性医師が居てくださって助かりました。
そしてお尻と腕を冷やされました……制服はベッタリと汚れがついてしまったので、本日は帰るようにと勧められ教室からカバンを持ってきて貰いました。
お尻の汚れは目立つので生徒の目に晒されないように早く歩かなくてはいけないのですが、お尻の痛さから歩く速度が遅くなってしまい、チャイムが鳴り生徒が教室から出て来ました。
「ど、どうしましょう……」
そうだわ。皆さんが立ち去るまで壁で隠しましょう!
学園の制服はベージュが主体で華やかなものです。汚れがつくとすぐに分かるように、いつでもキレイにしていなくてはいけませんし、家に帰ると替えが用意されているのですが……こんな姿を人に見られては恥をかきます。