一いえば十を理解してくれる陛下だ。恐らく今の説明だけで国を捨てる覚悟で話をしにきたという事も理解されたのだろう。重く受け止めている。

「ありがとう存じます。私は私ができる範囲で抗ってみます。娘が幸せな人生を歩む事が私と妻の幸せです」

「君も親になったもんだな……立派だ。私は甘すぎたようだ。すぐに調べはつく」

「え?」

「全てが終わった暁には酒でも呑もうじゃないか。君とはお茶しか飲んだ事がないだろう?」

 ……そりゃ学生時代だから酒は呑まないだろう。いや、陛下以外とは呑んだことはある。

「それは楽しみです」

「君は娘を信用しているんだな」

「はい。初めの婚約を決めたのは私でしたが娘の相手にはなりませんでした。次は失敗したくありません」

「同感だ。相談は受け付けた。嘆願書とされると数ヶ月かかるが面と向かって言われ、エリックも関わっているとなるとすぐに行動に移さねばならんな。客人も来るから……忙しいな」

 ……余計な仕事を増やしてしまったが、頭を下げた。

「陛下にしか相談が出来きませんでした、申し訳ありません」

「今はプライベートで話をしているから頭など下げるな。私が介入してまで婚約をさせたくないのだろう。エリックのせいではないか! ここは親としてしっかり調べておくから安心しろ」




 家族の事……と言いつつ私は自分の事しか考えていないのかもしれない。相手の親、陛下(国のトップ)に頼んだのだから。


 私は離婚なんて絶対にしない! 伝手(陛下)を使ってでも!