プライベートと言い、話し方を変える陛下。若くして国王になったものだから威厳のある話し方に変えた。というのは陛下の側近から聞いた。形から入るお方だから。と言い笑っていた。因みにその側近は私の同級生で友人だ。陛下を支える側近はみな陛下のことが好きなんだそうだ。公で笑おうものなら罰せられるが、陛下も知っていてバレたか? とお茶目な様子で返してきたとか。そういうお人なのだ。

「はい」

「反対か?」

「はい」

「婚約破棄をされたといっても向こうの有責による婚約破棄だろ?」

「はい。しかし娘が傷ついていないとは言いませんよ。今は元気ですが当初は色々と私たちに気を遣い家を出ようとまで考えていましたから」

「優しい子に育っているな」

「妻に似ました」

「君にそっくりだと私は思っているぞ。エリックの件だがエリックは君の娘を好いているそうだ。私も彼女を気に入っている。何か問題があるか?」

「……問題があると言えば、私たちの方です」

 周りに人が居ないか確認する陛下。二階フロアの端にあるベンチに横並びで座る。そして声を顰めて話をすることになった。

「殿下が何を考えているか分かりません。娘を好いているという事でしたが、信じられません」

「君の娘を紹介してきたり、私に話を持ち上げてくる時点で本気だとは思わないのか?」

 わざわざ親に会わせるほどだからある意味本気なのかもしれない。

 
「婚約破棄をされた時に殿下が立会いをしていました。王宮に呼び出され娘は不安だったでしょう。娘を庇うわけでもなく相手が一方的に話をして、分かりました。というのが精一杯だったのです」

「エリックが立会いをしたのか。一貴族の婚約破棄に首を突っ込んだと」

「えぇ、そのことに関しては謝罪を受けいれましたが、その件の責任を取るから娘と婚約するなんて馬鹿げています。殿下には婚約を申し込んでいる事を公にしないでほしいとお願いしましたが、いずれどこからか噂になります。すると我が家では断れません。また娘があらぬ事を言われるのを見たくない。妻も同じ気持ちです」

「……そうか、エリックは私にその事を隠しているな。詳しく調べることにしよう。エリックの意見だけ真に受けることは出来んな。もしそれが間違いなら王子としての在り方を今一度分からせることになりそうだ」