「久しぶりに会う方達も居ますので、近況報告も兼ねていらっしゃるのかもしれませんわね」

 王宮のパーティーは年に2回ですし、訳あって来られない方も居ますものね。強制ではありませんし、女性のみという点では集まりやすかったのかしら? かなりの参加人数ですもの。

「王妃様がいらしたわ」

 皆さん道を開けて王妃様へ視線をむけていました。王妃様は笑顔で歩いていましたが、ふとした瞬間目が合いましたの。気のせいでは……ありませんわよね?

 王妃様のご挨拶では、このような会が開けてとても嬉しく思います。皆さん学生時代を思い出して楽しく過ごしましょう。スイーツもたくさん用意しましたのよ。と言うと、皆さんそれはそれは楽しそうに話に花を咲かせていましたわ。私も楽しく友人達とお話をしながらスイーツをいただいていました。

 すると“きゃぁ”と声が聞こえ、その声のする方を見ますと振り向いた瞬間にぶつかったそうで、ある夫人のドレスが汚れてしまいました。すぐに給仕が現れてその場は収まりほっと胸を撫で下ろしました。

 王妃様のお茶会で騒ぎを起こしたとなると、今後の社交に影響が出るかもしれませんもの。楽しく終わりたいですわね。

「あら?」

「エリサ様、どうかしたの?」

「先ほどの夫人の落とし物かしら? 確か黄色いドレスを着ていましたわね」

 髪飾りと思わしきものが落ちていたので拾いました。

「ちょっと失礼。あちらにいらっしゃるから届けてくるわね」

 断りを入れて黄色いドレスの夫人に声をかけようとしましたら、ちょうど移動されるようで追いかける形になりました。ようやく追いついたと思い声をかけます。

「あの、失礼します。こちらの髪飾りを落とされませんでしたか?」

 この方見た事がありますわ。確か王妃様の侍女をされている方だわ。