リュシエンヌ母(エリサ)視点】

「まぁ、エリサ様じゃない!」
「お久しぶりです。辺境伯夫人になられてから初めてお会いしますわね」

 エリサとはリュシエンヌ母の名前で話しかけられた相手は学生時代の友人で辺境伯に嫁いだ令嬢だった。国境に住んでいるので中々王都に来ることが出来ないのよ。とボヤいていた。親戚の結婚式もあり、たまたま王都に来る用事があったらしく参加できたと言う。

「何年振りかしら。エリサ様は変わらないわね。伯爵はお元気?」

「えぇ。とても元気にしていますわ」

 久しぶりに会った友人に現在置かれている事を相談できるわけもなく……夫は疲れています。だなんて言えませんもの。

「辺境まで噂が届いていたわよ。リュシエンヌちゃんの事と鉱山の事」

「……色々とありましたのよ」

「甥が言っていたのだけれどリュシエンヌちゃんはとても優秀なんでしょう? 美しくて優しくて学園で人気だというじゃないの! うちの息子のお嫁さんに欲しいくらい。ちょっと男運が……悪かっただけよ」

「ありがとうございます。そう言って頂けると助かりますわ。本人はまだ誰とも婚約したくないと言っていて、主人も無理に結婚しなくとも家に居ていい。と言い出す始末で、親子揃ってのんびりしていますのよ」

 表向きにはそういうことにしておいた方が楽なのです。余計な事は言いませんわ。どう取られるかわかりませんもの。主人の家に居ていいというのは本心らしいですが……

「王妃様も何か魂胆があったのかしら? 同窓会という名目で何か隠しているとか? なんてね」

 やはりそう思いますわよね? 初めての事ですもの。このような規模で同窓会だなんて。

 そう言えば、王子殿下達がお小さい時に、友人を作るという名目でのティーパーティーは領地に居たから欠席していましたし、うちは伯爵家ですからお相手にも選ばれないと欠席してもお咎めもありませんでしたし……今回は是非ともいらしてね。とメッセージまで……