スキップしたい気分ですが、図書館でスキップなんてしますと迷惑ですからもちろん致しませんわ。

 まずは一階を見て回り、その後は階段を登り二階を見て回る。

「古い本が沢山! ふふっ。埃が被っているものもありますわ。誰も手に取っていないのね」

 王宮図書館って素敵!! 気がついたら鼻歌を歌っていた。どこからともなく“ゴホン”と咳払が聞こえいた。


「申し訳ありません」

 小さな声で謝る。ここは図書館だったわ。いくら楽しいからって鼻歌はダメですわね、静かにしていないと。心の中で大いに反省して本棚を色々見て回る事にした。その日は結局見て回るだけでいっぱいで、次回改めて借りようと思い名残惜しくもありながら、図書館を後にした。

 お迎えまであと少し時間があるので図書館に併設されている庭園を見ることにしました。古い書物もたくさんありますし図書館は大きな窓がなかったので、庭園はとても開放的に思えました。古い本は光に当てすぎると傷んでしまいますものね。

 美しい庭園をしばらく眺めてから、迎えの馬車に乗り込みました。また時間がある時にゆっくりと行きたいですわ。本の表紙を見ているだけで満足してしまっては勿体無いですものね。


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「え? モルヴァン伯爵令嬢が今日来たのか?」
 
「お越しになり許可証をお渡ししました。本日は貸し出しがありませんでしたので、また時間のある時に来られるとのことでしたよ。令嬢には珍しく二階のフロアに行かれました。古書が多く揃えてあるコーナーですので勉強熱心な令嬢なのだと感じました」
 
「そうか。ありがとう」

 リュシエンヌのクラスは先生の都合で午後は休講になったと後に知った。午後から休みなら図書館にくるよな。一緒に来たかったが残念……またの機会に。