あれからしばらくレイ様のお屋敷で過ごしていました。学園は行っても行かなくても良い時期です。


 ある日お母様がレイ様のお屋敷に訪問されました。

「リュシー元気にしてた?」

「はい。我儘を言って御心配をおかけしましたがすっかり元気です。お父様はどうされましたの?」

 お母様一人というのが気になって聞いてみましたの。

「……あぁ。何かショックを受けているみたい。気にしなくて良いわよ。元気は元気だから」

 前半の声が小さくて良く聞き取れませんでしてが元気なんですわよね?

「そろそろ私も家に戻らないと行けませんよね? ハリスとパティは元気にしていますか?」

 ハリスとパティから手紙を貰って早く帰ってきてほしい。と書かれていましたわ。

「寂しがっているからそろそろ帰ってきてくれたら嬉しいわね」

 レイ様のお屋敷にお邪魔してからはや一ヶ月以上経っています。卒業式まであと二ヶ月を切りましたし、準備もしなくてはいけませんものね。

「レイ様がお帰りになったら話を進めていきますわね」

「……そうね。リュシー、グレイソン様と結ばれた事は理解しているし、責任も取ってくださるだろうけれど……その身体に付いた跡が消えてから帰ってきて……お父様が更にショックを受けてしまうわ……」

 首を指差すお母様……

「え! 嫌ですわ、レイ様ったら!」

 恥ずかしいですわっ!!

「……ハリスやパティに虫刺されなんて通用しませんよ……」

 あの子達は耳年増ですものね……そう言えば毎晩一緒に眠るのが普通になってしまっていましたわ。レイ様の逞しい腕に抱かれていると安心するんですもの……


 レイ様が帰宅してからお母様が訪問された事を伝える。