「……リュシエンヌの姿が見当たらなくて、焦っている自分と……冷静な自分がいたんだ。内部に犯人がいると思った時、あり得ないと自分の考えを打ち消そうともした。リュシエンヌが大事なのに隊のメンツも考えてしまった……こんなことを言って嫌われても仕方がないと思う。騎士団の本部に異動する事は光栄な話で……今回の事で本部への異動はなかった事になるかもしれないとも思った。結果減俸となったが……仕事の事を考えてしまったんだ、最低だ」


「……なんだ、そんな事ですの?」

 レイ様は真面目な方です。そしてご自分の仕事に誇りを持っているのですからそれは当然ですわね。


「そんな事って、」
「レイ様は責任感が強いのですわ。とっても尊敬します。レイ様、私に言いましたよね? 結婚後は生活に困らせる事はしないって。レイ様は頑張ってお仕事をして、いずれは騎士団長になってくださいね? 私は騎士団長の妻ですの。と自慢します! それにまだまだレイ様に買ってもらいたい物も、してもらいたい事もたーくさんありますからレイ様は、私の物欲を満たす為にも今まで以上に働いてもらわないと困りますのよ? お家に帰ってきたらお疲れ様でした。と毎日褒めてあげますから、疲れても帰ってきてくださいね?」

「……リュシエンヌ」

「わかりましたか?」


 レイ様は無言でした。レイ様? もう一度声を掛けてみました。


「──良い女を嫁にできるんだと幸せを噛み締めている」


「あら? 恐妻家というのも悪くありませんわね。レイ様は強面と言われているのでしょう?? 強面騎士も恐る妻というのは最強な気がしませんか?」

 ……最強? 最恐? 悪くありませんわね。

「リュシエンヌがそう言ってくれるだけで最強の夫婦になれそうだな。可愛いくて優しくて気遣いの出来る最強の妻だ」


「強面の旦那様の苦手なピーマンも食べさせてみましょう。はい、あーんしてください」

 恐る恐るピーマンを口にするレイ様。

「苦いな。やはり嫌いだ」

「ふふっ。この苦さが体に良いのですよ? まだまだお子様ですね」

「あぁ。お子様だから一人で寝られないかもしれない。一緒に寝てくれるか?」

 レイ様がニヤリと笑ってきましたわ。これは揶揄われていますわ!


「それでは子守唄を歌ってあげますね」