「お父様、お母様ご心配とご迷惑をお掛けしてすみませんでした。まさかこんな事になるなんて思わずに……」

 家族だけになると急に力が抜けたように涙が溢れてきた。

「無事でよかった。痛いところはないか? 気分はどうだ?」

「レイ様が助けに来てくれましたから。私は……レイ様が来てくれるって分かっていたのに、もしこのままこの身が汚されてしまったら、家族もレイ様も失ってしまうと思って怖かったです」

「リュシー。もう心配しないで良いのよ。あなたが無事だったのだから」

 お母様も一緒に泣いてくれた。

 
「私はまだ許せないよ。大事な娘がこんな目に遭ったんだ。リュシーは家族を失うと言ったけどなぜ失うと思った? もし……もしだけどリュシーは何かあったら私たちから離れようと思っていたのか? あの時みたいに」

 あの時ってあの時? あの時とはまた違うの。身の危険は感じなかったから。今考えるとお父様やお母様には本当に迷惑ばっかりかけている。


「絶望の中生きていくのは辛いですから、」
「リュシー! それ以上聞きたく無いわ。リュシーは無事に私達の元へ帰ってきてくれたもの。私はグレイソン様と副団長様に感謝しているわ。だからリュシーの好きになさい。その代わり、責任は伴うと言うことも頭に入れておきなさい。ハリスとパティには上手く言っておくわ」


「な、何の話を、私は許してないよ。だめだよ、結婚前の娘が、」

「お父様のことは私に任せなさい。グレイソン様に迷惑だけはかけちゃダメよ? それと連絡は必ずする事、良いわね?」

 お父様は面白く無い顔をしているけれどお母様に頭が上がらない。


「……私は許可してないからな!」

「お母様、お父様ありがとうございます。大好き」

 両親は一番の理解者でいつでも私の事を考えてくれている。私もお父様とお母様みたいな夫婦になれたら良いのに。


 お母様は何かあったら相談に乗ってくれると言って、お父様は最後までむすっとしていたけれどレイ様のお屋敷に行っても良いって渋々言ってくれました。